フレディ・マーキュリーとブライアン・メイとロジャー・テイラーとジョン・ディーコンとアダム・ランバートと私 2

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フレちゃんと開演を待つ


開演時間の17時が過ぎ、なにかのメロディが会場に流れているのに気づく。

後でわかるのだけどメイド・イン・ヘブンのボーナストラックにあるTrack13だった!

そしてイニュエンドゥのイントロがオーケストラバージョンで! おおおおマジか。

 

客電が落ち、ステージ上の赤い王冠がのぼっていったと思ったら、激しいギターリフとともにブライアン・メイがステージ上部に登場! Now Ⅰ`m here!!

続いてアダム・ランバートのシルエットがフラッシュライトのなか映しだされ(これは初来日時のツアー演出のオマージュも含んでいたのかしら)ライブが始まった。

うおおおお、あの音だ、双眼鏡でブライアンの手元をチェックする。

ブライアン・メイがレッドスペシャルをかき鳴らしている。髪は真っ白になり体形はずいぶん変わってしまったけれども、あの音は、あのギターはまぎれもなくブライアン・メイだ。

ロジャーはサングラスをかけているけれども、時折、スティックを回している。ああ、これは本物のロジャー・テイラーだ!!


さらに輝ける7つの海をサビまで、続いてキープ・ユアセルフ・アライブ、ハンマー・トゥ・フォール(ここでボラプ映画の影響でライブエイドの観客の気持ちになる。QUEENのおかげで目標の寄付金額に届いたぜボブ・ゲルドフとばかりに)キラー・クイーンまで、メドレー形式でノンストップでたたみかけてくる。

 

なんじゃ、こりゃ!最初からトップスピードなの!?

なんというスピード感、ドライブ感。

すべての音がスパンコールのようにキラキラときらめいている感じ。

アダムの声はどこまでも伸びやかで動きはかわいく(シルクハットかぶったり、キラー・クイーンではピアノにもたれて真っ赤な扇をふったり小道具も活用)気持ちがいいったらない。すでにアドレナリンドバー状態だ。

そんななか、ふとブライアンとロジャーはこの辺の時期の曲だと、もう1000回ぐらいは演奏しているんだろうか、身体の一部みたいなものになっているかしらと思った。

 

アダムは最初のMCで「ロックレジェンドのブライアン・メイロジャー・テイラーに拍手を。みんなフレディ・マーキュリーは好き?僕も好きだよ。だから今夜は彼を祝福しよう!」という趣旨のことを、ゆっくり聞き取りやすく言った。

ああなんて、なんてよくできた子なんでしょうアダム。これ以上ない爽やかなMCだ。それでいて小賢しい感じもない。

QUEENのボーカルという重責を担うにあたって、プレッシャーや批判もあったろうけど、アダムはケチのつけようがない歌唱力とフレディとはまた違った個性的なビジュアルとアクション(なんかいろいろ小芝居しててかわいいし面白いのだ)

そして自分はプロの歌手ではあるけどファンの代表でもありますというスタンスをもって、乗り越えていったのだろうなあ。


私は勝手に、ソロシンガーにありがちな俺うまいだろうアピする押しつけがましいような歌い方をする人なんじゃないかと思ってたよ。

ちゃんと自我もギラつき成分もあるのに、真っ直ぐでまったく嫌味がないんだよね。

ほんとごめんねアダム・ランバートさん(ここでさん付けになる)。

あとアメリカっぽい大味さ(偏見)がないのもレジェンド2人に見初められた理由なんじゃないかなと予想する。繊細な表現もちゃんとできる陽キャシンガーって理想的なのではないかなあ。


フレディに比べるとアダムは声質が軽いなんて意見もあるみたいだけど、あまりに軽々と高音部分を出すものだからそう感じられるんじゃないかと思う。

高音部だろうと低音部だろうと苦しげな感じがまったくないのだ。

あとはもしかしたら声も外見も年齢以上に若いから(38歳なので結構な年なんだけど)より明るく軽やかに感じられるのかもしれない。

だとしたら今後キャリアと年齢を重ねたら、どんなシンガーになっていくのだろう。

楽しみであるが、願わくば伸びやかでキュートな雰囲気はそのままでいてほしい。

ロックレジェンズ2人から、神からの贈り物と称えるだけあるよ、君!

 

MCが終わって始まったのはドント・ストップ・ミー・ナウ、みんな合唱を始める(僭越ながらわたくしも)。

ステージはオペラ劇場のような赤と金を基調にした造りで、後方中央のスクリーンには車のフロントガラスから見たハイウェイのような疾走感のある映像が流れだした。原曲よりスピードは少し抑えめだったけど。

映画のエンドロールを思い出して、ほんのり切なくなったのも忘れられない。こんなにポップで楽しいメロディにイケイケな歌詞(というよりフレディの放埓な私生活そのまますぎて博士は当初好きじゃなかったとか)だというのに。


続いてサムバディ・トゥ・ラブ。これもボラプの影響でSomebody♪とコーラス部分を歌う人多数だったが(わたくしも)さらなるシンガロングをアダムは煽る。

ロジャーの力強いコーラスとバスドラ音が聞こえてとても良いし、ギターソロにもドキドキする。


神々の業は初めて聞いた曲のように新鮮に味わった。ちょっぴりアンニュイだけど美しくて力強い、なんていい曲なんじゃろうと思いながら、おーおーらららーと一緒に歌った。

背景の映像は崩れゆく神殿だったらしい(ちゃんと見てなかったので、なんか崩れてるわくらいの印象だったが、なんで破壊映像なんだろうと思ったことは覚えている)

よく考えたら、ここまでメジャーコードの曲ばっかりですわね。ここで流れが変わりますよって暗示していたのか。


続いてロジャーのボーカルで車の歌!!! うはあ、なんてかっこいい。なんて力強い歌声! あまりに力強すぎて正直ビビった。

いい声だよなあロジャーはハスキーで(ロッド・スチュワートの声にちょっと似てると思う)それでいてドラムだってたたきながら歌ってるんだよ?

私はどうしてボラプのなかで皆がこの曲をディスっているのかわからない。

そもそも博士はあんだけディスっていながら、めちゃくちゃイカしたリフを奏でているじゃないか。映画と現実を混同しているだけなんでしょうか。ほんとはみんな車の歌、大好き!なのよね?('Д')


バイシクルレースでは花道先にいつの間にか出てきたデカいハーレーダビッドソンにまたがったアダムが登場。衣装はいつのまにかトゲトゲ付きの黒い革ジャン革パンツだ。

大阪ではバイシクルちゃうやんバイクやんといっぱい突っ込まれていたようだが、さいたまでは何も聞こえなかったです。残念。

バイクがステージ上で回転しアダムはその上で寝そべったりながら歌う。

ロックショーというよりレビューかバーレスクの世界みたいだった。ロジャーがアダムはディーバだって言ってたの、こういうとこも言ってるのかしら?なんて思った。

フレディもこんな演出やれるもんならやりたかったかなあ。


一転して、地獄へ道づれ。うひょーカッケー! ダンサブルでベースリフが耳に残る曲だけど、生で聞いたらギターのカッティング?もかなりいいのです。
そうライブ見て初めて分かった未熟者だけど、ギターソロがあまり目立たない曲でも、ブライアンはカッティングもリフも超絶かっこよくて良い音を出していたのだ。

そして演奏中の表情がとっても豊か。初期の俯き加減で粛々と弾いている感は全くなくなり、曲の世界を全身で表現している感じだ。

それはロジャーもそうなのかもしれない。


I want it allでは、イントロのアカペラ前に、アダムの声とブライアンのギターの音で、ユニゾンしていた。これがまた妖しくって艶々で。

ギターソロでは待ってました!早弾きがんばれ!いえーい!72歳であんだけ弾けるってすごくない?すごくない?と誰かに聞きたくなった。

博士とアダムの歌との掛け合い部分もよかったなあ。
ショウ・マスト・ゴー・オンはもちろん、I want it allもボーン・トゥ・ラブ・ユーもフレディはステージで歌うことがなかった。アダムを得たことによって板に乗せることができて、ブライアンとロジャーは喜びを感じているだろうか。

あるいは、フレディとも演りたかったなあなんて、今でも思ってしまうことがあるだろうか。なんてちょっとおセンチですかね。


この曲のあと、ブライアンが1人、アコギをもってセンターステージにやってきた。

声援が飛ぶ中、彼はイラッシャイマセエエエエエ!!と叫んだ。あはは。そんな声はって喋る方だと思わなかったですよ博士。このあと疲れるからいいですよと無駄な心配をしてしまった。


B:こんばんわートーキョー (客:こんばんわー さいたまやけどな、って突っ込む無粋なやつはいませんw)

B:お元気ですかー (客:元気でーす!)

B:ほんとぉ? (客:笑)

と中1の英語の教科書構文か何か?なコール&レスポンスもほのぼのしていて楽しい。

 

そういえばフレディはブダペストでの公演のとき、ハンガリーの民謡をカンペ見ながら披露していたっけ。

いろんな国にツアーで行って、その土地の言葉や歌で観客を喜ばせるというのはQUEENのかわらぬ基本方針なのかもしれない。


博士は、日本にまた帰ってこられてうれしい、これはみんなのための曲だよと言って、手をとりあってを歌い始めた。スマホのライトをつけて掲げながら日本語部分を大合唱する(博士は日本語パートに入る前にニッポンゴ!と言ってくれた)。

白いライトでいっぱいになったアリーナ席がとてもきれいだった。

博士の声は少しかすれていた。歌ったのは1番だけだったけど、かつてのように、ピアノから立ち上がってレスペを弾きだす姿も見てみたかったなあ、などと叶わぬ夢を見てしまう。


続いてラブ・オブ・マイ・ライフ。Rock in RIOの民並みに全員で歌いたかったけど、ボリューム的にはどうだったかなあ。

途中からディズニー柄のかわいいタンクトップ姿で歌うフレディが映し出された。

泣ける。寂しい。

曲が終わって博士がハイタッチするかのように手をのばしたがフレディは去っていく。

どうしてこんな演出するのおおおお(涙)

わたしの乏しい英語力では聞き取れなかったんだけど、フレディがここにいるつもりで歌ってねと博士は言っていたらしい。

うん、いたねフレディ。ずっといてほしかったよ(また涙)

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王冠のなかもフレディがいたのでした



続いて宇宙に行った人の歌、聞きたい?と始めたのが39。

日本では手をとりあってをやる分カットされるなんて噂もあったけど、無事にやってくれた。そら日本限定ベストにも入っていたんだし、やらなきゃ暴動おきますわ。

こちらもサビでシンガロングだ。

フレディが歌うとものすごく明度があがって色彩もビビッドな感じに仕上がるんだけどブライアンはふんわりと優しく、失われた時間への思いを歌う。

でも後味は悪くないんだ。諸行無常の響きはあっても、悲しみだけが残るわけじゃないというか。

実際最後の歌詞を、そして今も僕はここでロックしていると歌っていたし(多分そういう意味だと思います)

 

いつのまにかロジャーも後方でコーラスに参加していた。
39を歌い終えると、博士は、みなさーんロジャー・テイラーさんですと紹介し、ロジャーがセンターステージに登場した。

ここでサングラスをとってハイと挨拶したらば、Σ(゚∀゚ノ)ノキャーの声が(笑)

いつのまにかドラムもセンターステージにセットされていてびっくり。

 

とても古い歌ですと言って、ブラロジャ2人でのDoing allrightが始まった。

そうだよね、これはsmile時代に作られて、QUEENの原点になったといえる曲なんだよね(映画の影響かもしれないけど)。

曲の途中からはアダムも参加。美しいファルセット?(地声かも?)で歌う。

歌が終わると博士はアダム・ランバードさんでーすと伝え、アダムにMCをバトンタッチする。


クレイジーになるかい?とキュートに愛という名の欲望を歌いだすアダムは、黄色地に黒が混じった草間彌生リスペクト?って感じのスーツに衣装をチェンジしていた。

レディフレディ!の掛け声のタイミングに迷いつつ何とか叫ぶ。

アウトロのギターもスパイク・エドニーさんのピアノも超かっこいい。


ロジャーのドラムソロ(それほど長くはなかった)のあと、おなじみのベースのフレーズで始まったのが、アンダープレッシャー。

もちろんロジャーとアダムのデュエットだ。

うーん、ほんと良い声。はっきり言って原曲のボウイのメインボーカルより好きだ。

もしこの先ロジャーが1ステージずっとはドラム叩けない身体になっても、歌うだけでいいから続けてほしいとつくづく思ってしまう。お願いしますマジで。


続いてサポートメンバーの紹介。担当楽器と名前のあとにFrom England, Manchester、などと出身地をつける博士に萌える。

QUEEN時代から一緒にやっていたスパイクさんはじめ、紹介されたサポメンがワンフレーズずつ弾いてみせるんだけど、それが超絶うまくって楽器に詳しくない自分でもすごい人たちがサポートしてるんだなあって思う(スパイクさんは、名古屋ではデス・オン・トゥーレッグスのイントロを弾いてたけど聞きたかったなあ)

 

ミュージシャンだけでなくライティングや舞台セット、音響などのスタッフも超一流どころなんだろう。超絶ハイグレードなディズニーワールドのように、オーディエンスをひと時の夢の世界に連れていってくれるキャストたちなんだ、みんな。

 

メンバー紹介後のドラゴン・アタックは予想だにしてなかった曲。アダムが好きな曲だと何かで見た気がするのだけど、かっこよくてファンキーなちょっと異色曲だ。

ギターもかっけえ(ブライアンの作曲だったのね。ちょい意外)。

 

続いて日本では大人気だけど、他国ではやらないといわれているボーン・トゥ・ラブ・ユー。はっきりいって、そこまで好きな曲じゃないのだけどアダムの声にはとても合っていて、楽しく聞けた。日本国内でしか聞けない!ってスペシャル感もあったし(その分ファットボトムド・ガールズが削られてるわけではあるのですが)

博士のギターソロも華やかでとても良き。フレディソロバージョンの軽い軽いシンセ音にくらべレッドスペシャルのギンギンのギターソロは装飾過多ともいわれているけど、あれはブライアンからフレディへの手向けの花なんだという説もあって、その解釈は、ちょっと好きです。

白い百合じゃなくて、大輪のピンクの薔薇や香り高い胡蝶蘭をフレディに捧げたのね、博士は。


ブレイクフリーではみんなで女装( ^ω^)・・・なんてことはなく普通に歌い演奏したのだけど、ギターソロの時に天井のミラーボールが回って、会場を明るく照らしていた。いい意味で軽薄かつキュートな感じがこの曲にはとても合っていたと思う。